雇用率/必要雇用数の計算方法

この記事で分かること
  • 法定雇用率を定める目的
  • 法定雇用率が達成できていない場合のリスクとは
  • 定着率を上げるためのコツ

法定雇用率を定める目的とは

国が掲げている「共生社会」を実現するには、障がいの有無に関係なく、すべての人が個々の能力を活かしながら働ける環境を整える必要があります。

しかし障がいのある方に十分な能力や意欲が備わっていても、現状は希望する職に就くことが難しいケースが多いです。

そこで、障害者雇用促進法を国が制定しました。障がい者の雇用を義務化することで、障がいが原因となって社会的格差が生まれることのないよう、障がいのある人とない人の雇用に関する機会の均等につながっているのです。

障がい者の雇用義務

43.5人以上の従業員が働いている企業は、障がい者を雇用しなければならない義務があります。

企業の規模によって、雇用する必要のある障がい者の人数は決まっています。以下に記載している方法で算出した数値を企業の雇用カウントとし、これが国から決められている法定雇用率を上回っている必要があるのです。

なお法定雇用率は5年ごとに見直しが実施されますが、これは社会の変化を反映するためだとされています。

参照元:厚生労働省(https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyou/jigyounushi/page10.html

企業が雇用すべき障がい者の人数の計算方法

自社で雇用すべき障がい者の人数は、次の計算式で求められます。

自社の法定雇用障がい者数 = (常用労働者人数+短時間労働者数×0.5)×法定雇用率(2.5%)

※上記の計算式で求められた数字に1人未満の端数がある場合は、その端数は切り捨てる。

参照元:チャレンジラボ(https://challenge.persol-group.co.jp/lab/fundamental/money/money001/

法定雇用率が達成できていない場合のリスク

法定雇用率が達成できていないと、ハローワークや労働基準監督署などから指導が入ります。

適正実施の勧告や特別指導などを経ても改善がみられない企業は、「障害者の雇用の促進等に関する法律」第47条に基づき、取り組み不十分として厚生労働省の公式サイトに掲載されてしまいます。

企業名が公表されると、その情報は以降削除されることはなく、さまざまな影響を受けてしまうため、注意が必要です。

参照元:厚生労働省(https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_23015.html

参照元:e-gov「障害者の雇用の促進等に関する法律」(https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=335AC0000000123

定着率を上げるためのコツ

障がいの特性を理解する

障がい者の定着率を上げるためには、障がいの特性について理解を深める必要があります。障がいの種別や程度は個人差があり、能力も異なります。

特性を理解すると、特性に合わせた指導や配慮ができるのに加え、障がいのある方が能力を発揮しやすくなります。

社内の理解を深める

社内スタッフの障がい者への理解を深めておくことも重要です。障がいのある方とのコミュニケーション方法や対応できる業務の範囲、部署へ配属した理由などを周知しておくとよいでしょう。

そして困ったことが起きた場合の相談窓口についても明確にしておくのが望ましいです。

関係機関との協力体制を構築する

定着率を上げるためには、ハローワークや就労移行支援事業所などの関係機関と協力体制を構築しておくことが大切です。ハローワークへは、必要な配慮や障がい者雇用のノウハウなどを事前に相談するとよいでしょう。

また、就労移行支援事業所を経由して就職した方については、採用された後も同事業所の職員が定着支援を行うため、連携をとるとよいでしょう。

まとめ

国が掲げる「共生社会」を実現するには、障がいの有無に関係なくそれぞれの能力を活かしながら働ける環境を整えることが重要です。しかし、障がいのある方に十分な能力や意欲があったとしても、希望する職に就くことが難しいケースが多いです。そのような状況の中、障害者雇用促進法を国が制定しました。

43.5人以上の従業員が働いている企業は、障がい者を雇用しなければならない義務があります。法定雇用率が達成できていないと、ハローワークや労働基準監督署などから指導が入るなどさまざまなリスクがあるため、達成を目指していく必要があります。

また、障がいを持つ方が定着するためには、関係機関との協力体制の構築や社内の理解を深めておくことが大切です。障がいのある方が能力を発揮しやすいよう、特性への理解を深めていくことも必要です。