就労定着支援サービス

就労定着支援サービスとはどのようなものか

定着支援専門カウンセラーによる面談を実施

定着支援専門カウンセラーが、月1回以上のペースで働いている利用者様と面談をして、カウンセリングを行います。そこで、現在の生活状況や職場環境などをヒアリングして、症状の再発や再燃を防ぎつつ働き続けるための支援を行います。利用者の勤務先・自宅の訪問や事業所での個別相談、電話やメールでの相談にも応じます。

参照元:リタリコHP(https://snabi-biz.jp/articles/14

生活面の課題を把握

障がいのあるスタッフと面談を通して、生活面の課題を把握します。生活面の課題とは、例えば、生活リズムが崩れることで生じる遅刻や欠勤の増加・服薬をし忘れる・身だしなみの乱れなどが挙げられます。生活面での課題は、安定した就労に影響を与え、離職率を高めるリスクとなるため注意が必要です。また、職場での職務や雰囲気へ慣れず、コミュニケーションがうまくできないなども離職につながってしまいますので、配慮が必要です。

課題解決に必要な関係機関と連携を図る

課題に対し、本人と家族、障がいのある方を雇用している企業と課題解決に必要な関係機関(障がい者が利用していた生活介護・自立訓練、就労移行支援、就労継続支援を行なう事業所)や医療機関、社会福祉協議会などとの連絡調整を行います。

課題解決に向けた支援を実施

課題解決に向けた支援を実施します。支援は障がいのある方の自宅や企業を訪問するなどして、月1回は対面でサポートを行ないます。またそれとは別に月1回はその障がい者を雇用する企業を訪問してサポートをしていることも特徴です。健康管理はもちろん、安定した生活リズムの維持、金銭管理に対して必要な助言を行います。

支援内容の報告

就労定着支援を実施後、支援内容や他の関係機関との連携した情報などをまとめた支援レポートを提供します。よりよいサポート体制を構築するために、利用者本人の同意を得てから、就職先の企業や家族、関係機関などに共有することもあります。

就労定着支援サービスによる 障がい者雇用の課題解決の事例

就労定着支援を導入し離職につながりうる兆候に気づきやすくなった

人事チーム主導となり、選考し採用しましたが、配属先は現場店舗だったため、人事から手が離れ、状況が見えにくくなることが懸念でした。

しかし、事業所の面談報告から、順調にステップアップできていることが把握できました。また、今までは直接の関わりがない間に、トラブルや退職になるなど、対応が遅れてしまうことも多々ありました。しかし、就労定着支援サービスを導入してからは、生活面の乱れ等の離職につながりうる兆候に気づきやすくなり、表出する前に共有してもらえるため、離職する前に対策をたてられるようになりました。

参照元:株式会社D&I公式HP(https://d-and-i.jp/service/worksupport/

勤怠管理が安定しなかった精神障がいのあるスタッフへの対応

勤怠がなかなか安定しない精神障があるスタッフ(以下Aさん)がいて、このままでは契約更新は難しい状況でした。しかし、そのことをAさんに伝えると、さらに体調が悪化するのではないかという懸念が拭えず伝えられないままでした。就労定着支援を導入したのは、現状の改善を図りたいという思いからです。

当初は、Aさんがどのように現状を捉えているのか、どうしていきたいと考えているのかなどのヒアリングを行い、解決の糸口を探ってもらいました。複数回の面談を経て、本人とカウンセラーとの間に信頼関係が生まれたようでした。

Aさんもアドバイスを受け止められる状態になったタイミングを見計らい、「配慮をお願いするうえで『自分が対処すべきこと』と『周囲の協力がないと難しいこと』とを線引きをしてみましょう。障害者枠だからすべてを考慮してくれるわけではありません。スタッフの一員として周囲の方と共に働くためには、『できることは自分でする姿勢』が大事」と話していただきました。

以降、本人の意識に変化が見られ、カウンセラーと相談しながら、体調の安定のための取り組みを行い、勤怠も安定し始めました。

参照元:株式会社D&I公式HP(https://d-and-i.jp/service/worksupport/

職場実習の実施から採用へと進んだ

平成25年12月頃、区内の施設連絡会議に参加し、企業と雇用に向けた連携体制の確立をめざしました。作業内容について説明を行った後、就業・生活支援センター内で作業体験を実施、職場実習を行い雇用に向けて動き始めました。自立支援協議会において「作業体験」を周知し、平成26年2月に就労継続支援B型事業所より紹介を受けました。その後、利用登録、就業・生活支援センター内で作業体験をしていただき、職場実習の実施、採用へと進みました。

参照元:障害者職場定着サポート推進事業職場定着事例集PDF(https://www.hataraku.metro.tokyo.lg.jp/koyo/shogai/H26-27suportjirei.pdf

就労定着支援サービスの メリット・デメリット

就労定着支援サービスのメリット

就労定着支援サービスを障がいのあるスタッフが利用すると、企業側が雇用を継続しやすい環境になります。就労定着支援員が障がいのあるスタッフのサポートをしたり、面談の機会を設けたりしてくれるため、現状を踏まえたうえで業務調整や環境整備に取り組みやすくなるのです。

また、障がいのあるスタッフにとって、就職後に新しい環境で過ごすのは、悩みや不安がつきものです。就労定着支援を利用すると、就職後も多方面からサポートを受けやすくなるため、トラブルが起きたときも心的な不安が少なくなります。

就労定着支援サービスのデメリット

就労定着支援サービスのデメリットとしては、3年あまりでサポートが終了してしまうことがあげられます。就労定着支援期間が終わると、障害者就業・生活支援センターなどが引き継ぎを行いサポートをしてくれますが、担当者が途中で変わってしまうため、1から関係を構築しなければならなくなるのです。

わくぷら編集チームより

就労定着支援サービスでは、定着支援専門カウンセラーによる面談・生活面の課題を把握・課題解決に向けた支援を実施など、さまざまなサポートが期待できます。導入すると、生活面の乱れ等の離職につながりうる兆候に気づきやすくなったり、他職種と連携を図りながら支援できるため、障がいのあるスタッフの離職予防にもつながります。